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311から半年たったが、東日本はまだまだ「復興」からはほど遠い。

この夏、私は被災地の一つ、陸前高田市を訪ねた。
ここは壊滅的な被害を受けた所である。

毎日のようにここの映像を見ていた私も、実際にこの目で見て初めて
「壊滅」とはこういうことか、と衝撃を受けた。

広大な市にポツポツと残っているビルも、近寄ってみると
全く使いものにならないことが分かった。

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復興するためにはこれらの残ったビルを全て壊さなくてはならないが、
そのためには約17億円かかるそうだ。しかし、国からも県からも支援は来ない。
税金も今までと同じように徴収できるとは思えない。

市のトップの戸羽市長は津波で奥さんを亡くされ、
市役所職員68名、嘱託職員を含めると106名が亡くなり、市庁舎も壊れた。

ビルを壊し、整地し、都市計画を一からやり直し、造成して少なくとも市の半分を
山に移さなくてはならない。いったいどのくらいコストがかかり、それを誰が負担するのか。


被災し家を失って避難している人たちのほとんどは、職も失った。
会社ごと津波に流された人も多い。
しかし半年を過ぎると失業保険が切れる。いったいどこで働けばいいのか。

私たち一人一人ができることは小さいが、まだまだ長期的に支援していく必要があると改めて思う。

陸前高田市の海岸にあった7万本の松のなかで、たった1本残った松の木は、
タルコフスキーの最後の映画「サクリファイス」のなかの「生命の樹」のように、
ひょろひょろと頼りなく立っていた。

2011年7月18日 陸前高田にて
坂本龍一